実施報告2022
◇事業報告
6月12日、沖縄戦でアメリカ軍が最初に本島に上陸した読谷村でスタートした本企画は、12日間かけて毎日22時間、オンラインと会場を併用して行われました。総勢1500名以上の方々が参加し、戦争で失われた命を思いながら、平和の礎に刻まれた名前を一人ひとり読み上げました。
参加者は県内外に留まらず、海外からも応募があり、アメリカやハワイ、ペルーの県系人らも読み上げに参加しました。中には読み上げた感想を聞かれて堪えきれず涙を流す人もいました。こうして場所や時差を乗り越えて大勢の人がつながることができたのもオンラインの醍醐味であり、会場開催と合わせることで大きなエネルギーになり、平和学習の新たな発展の形につながると確信しました。
とくに、小中高校生や大学生といった若い世代が参加し、深い感想を寄せてくれたのは大変希望を感じさせてくれるものでした。現場の教員からも、「今まで平和教育をしてきた中で最も手ごたえを感じた」という声をいただきました。
戦争体験者の数が年々減っていく中で非体験者への戦争記憶の継承は本県の課題にもなっています。本事業が、平和の発信者を育成する機会になってほしいという期待の声が多く寄せられました。
実施期間 2022年6月12日~23日(12日間)
参加者 延べ1549名
参加国・地域 アメリカやアイルランド、コロンビア、マダガスカルなど9カ国・地域を含む全国23か所および県内各地
◇事業に対する反応
「沖縄在住の友人の紹介で、今回の企画を知りました。
皆様が読みあげる画面に釘付けになっています。
赤ちゃん、子ども、お年寄り・・亡くなられた場所も沖縄だけでなく海外も・・
なぜそこで、その方が命を奪われなければならなかったのか・・淡々と読み上げられるお名前の重み。一人ひとりが生き、そして戦争で死んでいったという事実が、画面から
ほとばしってくるようです。
いてもたってもいられなくて、今日、添付のイラストを描きました。」
西岡さんのイラストについては長崎ラジオでも取り上げられました。
◇参加した学生たちの感想◇
西原中学校では全校生徒で「平和の礎」に刻銘されている、西原町の方の名前を読み上げ る会に参加しました。 名前や亡くなった場所がわからない方もいて、改めて戦争の悲惨さ、残酷さを感じまし た。今回読み上げた名前の中には自分と歳の近い子、生まれてすぐに殺された3歳以下の子 などもいて本当に可哀想だと思いました。中には家族が一家全滅した家庭もありました。名 前のない人や年齢が分からない人も西原だけでたくさんいました。 戦争の悲惨さは今まで学んできた中で知っていたけれど、今日のこの会を通して、戦争は 本当に残酷で二度と起こしてはいけないと思いました。また、亡くなった方の名前が「平和 の礎」に刻まれ、今回私たちが読み上げたことで、その方達が生きていた証になると思いま した。今私たちにできることは、戦争の悲しさや悲惨さを未来に伝え、命を築いていくこと だと思います。戦争を生き延びてくれた人がいたからこそ、生きているこの命を大切にして いきたいです。 (西原中学校3年)
「平和の礎」の名前を読み上げる活動で、これほど多くの人が戦争で亡くなった方と思う と、とても悲しくなりました。でも、僕たちが読み上げた名前はほんの一部で、本当は24 万人以上の方が亡くなっているのだそうです。 僕たちは小学校の頃から平和学習でいろいろなことを学んできましたが、24万もの人が 亡くなったと聞いて、この、24万という数がどれほど大きいのかが、少しは分かった気が します。しかも、その中には、生まれたばかりでまだ名前のない人や僕たちと同じくらいの 小中学生もたくさんいます。 僕はアメリカ軍はとてもひどいと思います。ですが、「平和の礎」にはその敵国の名前も 書かれています。これは、アメリカ軍の人にも家族がいたのに家族を残して死んでしまった からだと思います。このように、戦争は誰にもメリットはなく、悲しみしか生まれません。 だから、二度と戦争をしてはいけないと思います。 (西原中学校3年)
◇事業にかかる報道の一例
テレビ報道
琉球朝日放送、NHK NEWS WEBで取り上げられました。
県外紙
朝日新聞で取り上げられました。
県内紙
沖縄タイムス、琉球新報で取り上げられました。
未来の事業実施に向けて、以下のことを県へ要望いたします。
- 県の後援ならびに協力支援(県の施設の提供等)
- 県内市町村への参加・協力の要請(施設提供、読み仮名等調査協力、広報等)
- 平和教育の一環として、県内各校への参加要請ならびに支援
- 「平和の礎」刻銘者の名簿の整理、データベースのオンライン公開
- 他都道府県への参加・協力の要請(読み仮名等の調査、広報等)
- 全国知事会や他県遺族会、世界のウチナーンチュネットワークへの参加要請